今回から「21世紀の人材育成への視点」という大きなテーマで連載をすることになりました。
幸いなことに筆者は、人材開発や組織の拡張に関して広範囲に携わってきました。その体験と学びをもとに、いくつかの小テーマを通して読者の皆様にとって役に立つ視点を提供していきたいと思います。すでに実行している、分かっているということも出てくるでしょうが、復習のつもりでお付き合いください。
さて、第1回目はアセスメント(人材能力評価) についてです。
企業の人事管理課題のベスト5は、以下の通りです。
目標管理制度や成果主義報酬制度の導入に伴って、社員をどのように評価するのかに問題意識の焦点が当たってきているのが分かります。現在の人事課題は「リストラ」よりも「評価」なのです。
社員評価の道具としてのアセスメント手法としては、次のようなものがあります。
これらの中で、社員の能力開発に活用する意図を持って実施されているのは、人事考課とアセスメント研修です。
人事考課とアセスメント研修のどちらも、「双方向のコミュニケーション」と「自己評価重視」という2つのキーワードが最近の傾向を表しています。それはマネジメントの方法が変化してきていることを反映しています。
従来のマネジメントは「指示命令型管理」でした。つまり、上司が部下の目標を設定し、作業の標準を明示し、指示通りに仕事をしているかどうかをチェックしてきました。
それに対して、これからのマネジメントは「指導援助型管理」です。組織目標に関連付けて部下に自主的に目標とその実行計画を設定させ、部下自身に実績評価をさせるというものです。「指示命令型管理」では部下に正しい遂行を期待しましたが、「指導援助型管理」では部下の成果を承認し、動機付けを図るという方向に変わってきたのです。チーム総合力強化やリーダシップが重視されるようになってきたことが読み取れます。
次回は、マネジメントの変革に伴って、アセスメント研修がどのような可能性を持ってきたかについて、お話したいと思います。