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コーチングコラム

インタビュー技術を学ぼう (6)

顧客の情報を共有する、GROWモデル

今、ご説明した質問・リスニング・提案というスキルを織り込みながらインタビューは行われます。たいへんだ、と感じる人もいるでしょう。話を聞き逃すまい、流れを読み違わないように、と必死になってメモをとりながらインタビューをしてしまいそうですが、それはやりすぎると逆効果です。
記録することよりも相手に関心を示すことが大切です。必要最小限のキーワードやキーセンテンスのメモは必要かもしれませんが、それは相手の話を理解し、全体像や方向を共有するために行うのです。また、記録は顧客の許可を得てから書き留めるようにすると安心されます。

コーチングのプロセスの応用なのですが、「GROW (成長する・育む)モデル」というものがあります。GROWというのはコーチングのプロセスの各要素の頭文字です。

GROW(成長する、育む)モデル

G Goal :目標設定
R Reality :現実把握
R Resource :資源発見
O Options :選択肢創造
W Will :意志確認

現実と目標のギャップを顧客自身が埋めようとします。
そのやり方に対して、ついつい「それではうまくいきませんよ」と批判しがちです。「そのやり方はやめた方がいい。こっちの方が絶対いいですよ」とまで言ってしまったなら反発は必至です。
GはGOAL(ゴール)。明確な目標です。
RはREALITY(リアリティ)。現実の把握です。
この二つを明確にし、「これが現在のやり方ですね。はたしてこのままでおっしゃった目標を達成できますか?」「そのやり方は問題解決に効果的でしたか?」と質問します。
これを自己評価の質問と言います。顧客が「解決や達成は無理かもしれない」と認識すれば、「なるほど。ではやり方を変える必要がありますね」といった提案にも顧客の抵抗は少なくなりますね。

さらに「では他にどんなやり方をお考えですか」と質問しても良いでしょう。
顧客の側にも考えがあるかもしれないし、こちらからも提案をすることで選択肢を増やします。これをOPTION(オプション)と言います。
さらに、選択肢それぞれのメリット、デメリットをフェアに示した上で「私のお薦めはこちらですが」「私ならば、こちらを選びますが」と言うのは、ビジネスパーソンとして必要な説得技法ではないでしょうか。

そして最後がWILL(ウィル)。目標達成の意志です。やる気であり、実行計画です。
この4つの要素をきちんと相手から引き出せるか、そのリードを質問によって行うのです。現実を目標に向かってどう解決するのかを決めるのは顧客自身。解決策をしっかり選択しなければいけないわけです。

ここで必要とされるのがもうひとつのR、RESOURCE(リソース)。資源なのです。資源は内側の資源と外側の資源があります。内側の資源とは、自分自身の意欲、知識、経験、能力などのこと。そして外側の資源とは、資金、道具、人脈、専門家の存在などです。
最後の解決手段の選択段階で、営業担当者とそのソリューション提案が顧客にとって魅力的な外側の資源として認識されるかどうかが大事です。ソリューション提案が有効かどうかを判断する際には、商品やサービスの質の高さはもちろんですが、顧客から見て「この人は、私の課題を解決するための資源を提供してくれる、本当の援助者だ」という存在でなければいけません。

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