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コーチングコラム

21世紀の人材育成への視点

第6回 : リーダーシップを発揮する人材育成(2)

今回はリーダーシップを発揮する人材育成のプロセスについてお話します。

アメリカではリーダーシップの研究とトレーニングが、1980年代後半から変化を見せ始めました。 筆者が米国人トレーナーによるリーダーシップ・トレーニングを受講して「目から鱗」の体験をしたのもこの時期です。
行動科学をベースとしたリーダーシップを研究してきた成果として、従来のマネジメント機能のひとつとしての見方ではなく、むしろマネジメントを包含するような位置付けが与えられ、トレーニング手法としても複数のアプローチが可能になりました。

心理的なアプローチとしては、アセスメント・フィードバックによる自己認知を深める方法。
感情的なアプローチとしては、個人的成長に焦点を当てる方法。(ベストセラー「7つの習慣」はこれに属するものでしょう。)
技能的なアプローチとしては、スキル訓練中心のスキル・ビルディング。
概念的アプローチとしては、講義やケーススタディー中心の概念認識の方法です。
そして実際的アプローチとしては、アクションラーニング(行動学習)の方法があります。
ジャック・ウェルチさんが始めたゼネラルエレクトリック社の「ワークアウト」がまさにそれです。すなわち、参加者が自分の属する組織の実際の戦略課題を討議し、提案を行い、その提案に取り組んでいくという進め方です。

その他、アウトドアでの未知への取り組みからの体験学習など含めて複数のアプローチが可能ではありますが、組織の実態とニーズに合わせて組み合わせていくことが必要でしょう。
「リーダーシップとは、『変化』に対応するものである。リーダーシップが近年大変重要なものになった理由のひとつは、ビジネスにおける競争がますます激しく、ビジネスの先行きが分からないものになったことである。」
とハーバード大学のジョン・コッター教授が書いています。
変化に対応し、組織のビジョンから課題を形成し、将来に対応していく人材を育成するのですから、そのプロセスをリードする人自身がリーダーシップを発揮する人材である必要があります。

リーダーシップ・トレーニングが、心理的あるいは概念的アプローチだけでは、組織や参加者個人のニーズに応えられなくなっていると思います。
そうなるとトレーニングの課題として、研修を進める講師の質の高さが従来以上に求められることになります。
なぜならば、教育的要素から実践的学習と実行へと焦点が変化するわけですから、マニュアル遵守型のインストラクターではリーダーのモデルとならないのです。講師はトレーナーであり、リーダーシップを発揮するプロセスをコンサルタントとしてファシリテートする役割を果たし、リーダーシップ発揮のモデルとして現れる必要があります。

マネジャーは「ひとつの組織を公式に預かる人」ですから、肩書きと連動します。
しかし、リーダーは必ずしも肩書きとは連動しません。あらゆる階層にリーダーがいて良いし、むしろいることが望ましいのです。そういう意味では、新しい価値を創造するリーダーシップ重視を社風の一部にすることができれば変化への対応に抵抗するのではなく、変化を引き受けていく柔軟な組織風土が作られていくことになるでしょう。

第7回 :マネジャーを育成する(1)

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